Concept

私たちの活動は、市民の声から始まりました。

 「芝生の校庭をつくって、子供たちへのプレゼントにしよう」。私たちの活動が始まったのは、神戸に住む市民の提案が、「神戸 21世紀・復興記念事業※」の「夢プラン」として採用されたのがきっかけです。1999年11月、この「夢プラン」のキックオフイベントとして、前ラグビー日本代表監督・平尾誠二氏やスポーツ評論家・玉木正之氏、前神戸市長の笹山幸俊氏などが参加したフォーラム「小学校の校庭を緑いっぱいの芝生に」を開催(主催:神戸 21世紀・復興記念事業準備室、神戸“アスリートタウン”クラブ)。
 さらに2000年3月には、このフォーラムをきっかけに集まった市民や芝生の専門家などで構成されるボランティア組織「芝生スピリット神戸」(夢プラン研究会)が設立されました。そして神戸市のバックアップの下、市民が主体となった活動として、小学校の校庭の芝生化を目指した動きが始まったのです。
※ 神戸 21世紀・復興記念事業
2001年1月17日より9月30日まで開催された長期型のイベント。神戸市や民間企業、市民ボランティアなどが運営に参画した。


キックオフイベントの発言集







 




2001年夏、神戸市立桜の宮小学校の校庭を芝生化。

 2000年には、神戸市西区にある神戸製鋼所・西神グラウンドで、同社の協力によりグラウンドの一部(約3,400m2)を使った芝生の植栽実験を実施しました。また東灘区の私立頌栄幼稚園でも、園庭の一部(約200m2)を芝生化するなど、翌年のモデル校における校庭の芝生化実施を視野に入れた活動を行いました。
 また対外的な責任を明確化し、さらに「神戸 21世紀・復興記念事業」後の長期的かつ広範な活動に対応するため、NPO法人(特定非営利活動法人)化を検討。「芝生スピリット神戸」のメンバーが中心になって、同年9月に校庭の芝生化を目的としたNPO法人「芝生スピリット」の申請を提出し、翌2001年1月認可を受けました。現在でも、活動の中心になっているのはごく普通の市民です。
 そして2001年7月には、最初のモデルケースとして、神戸市北区の市立桜の宮小学校で、校庭全体の約4割にあたる約2,350m2の芝生化に着手。10月の初旬から供用を開始しました。(施工や初年度の維持管理にかかる費用は、社団法人ゴルファーの緑化推進協力会からの寄附によるものです) また同年夏には、神戸市垂水区にある児童福祉施設「神戸少年の町」のグラウンドでも芝生化を実施。現在も芝生の校庭の更なる普及を目指して活動を続けています。


芝生化された桜の宮小学校の校庭






 
 




私たちが目指す芝生の校庭とは。

 私たちは子供たちや保護者、地域の方々が一緒につくり、育み、地域コミュニティの中心となれるような芝生の校庭を目指しています。
 芝生は「生き物」であると言われますが、限界を超えた過度の使用が、芝生の維持に致命的なダメージを与えることは言うまでもありません。使用制限は最小限に止めることが理想ですが、芝生の痛みがひどい場合は、同じ場所を集中して使わないなど、利用者の理解が芝生の校庭を永続的に維持するための不可欠の条件でもあります。
 しかしこのような利用者の意識は、専門業者や管理者まかせの施工やメンテナンスでは生まれずらいと考えられます。「人が与えてくれたもの」ではなく、利用者自身が「自ら育てた」という意識が、芝生を守り育てていこうとする気持ちに繋がるのではないでしょうか。
 このため私たちは、芝生化を検討する際に、現場となる小学校とその地域の意思を最優先に考えています。また芝生を施工する時は、必ず子供たちや保護者、地域の方々に参加を呼びかけています。また子供たちに芝刈りなどを経験してもらうなど、維持管理についても積極的な参加を促しています。さらに今後は、子供たちによる「芝生クラブ」の設立など、学校側と話し合いながら、様々な取り組みを検討しています。


芝生を蒔く桜の宮小学校の子供たち






 
 




子供たちの体と心のため。そして地域コミュニティの中心として。

 芝生化を推進する目的としては、まず何よりも小学生の心身への影響があげられます。柔らかい芝生の上ならば、ケガを気にせず、今まで以上に体を動かすことができるのではないでしょうか。小学生の間に基礎的な体の動きを身につけることが、後々の運動能力に大きく影響すると指摘する専門家も多くいます。緑に接する機会の少ない都会では特に、子供たちの心にプラスの影響を与えることも考えられます。
 また夏の校庭の温度上昇を抑えるといった環境への効果も期待できます。2000年8月に、神戸製鋼所とコベルコ科研が西神グラウンドで行った実験では、日中に芝生と土とでは最大10℃以上の表面温度の差が観測されました(「芝生の校庭トライアル」参照)。この他、周辺への土ぼこり対策として校庭の芝生化を実施した鹿児島県の小学校の例もあります。
 さらに芝生の校庭をきっかけにして、地域コミュニティがさらに活性化することも考えられます。たとえば芝生の校庭が一般に開放されれば、子供たちの他に地域の大人による利用も想定されます。たとえばスポーツサークルによる利用。あるいは芝生の上でのイベントや文化活動など。地域の人々の新しい交流の場になる可能性もあります。


芝生の施工に参加した子供たち






 
 




私たちは小学校に適した芝生をこう考えています。

 小学校の場合、学校によっては数百人の子供たちが校庭を利用します。また芝生の校庭が一般に開放されれば、芝生にかかる負荷も一層増します。このため校庭における芝生は、耐久性に優れていること、痛んだ際の回復力に優れていることなどが、まず第一の要件としてあげられます。さらにサッカー場やゴルフ場のような人手と頻度をかけたメンテナンスが難しいため、たとえば散水は雨水中心に考えるなど、できるだけ「粗放管理」で維持できる芝生を目指しています。
 また初期の施工にかかる費用は、土壌の改良なども含めて概ね1m2あたり3,000円以下を目安とし、より効率的なやり方を模索してます。また小学校の場合、土壌や気候条件など立地によって様々な違いがあるため、すべてをまったく同じ方法で行うのは現実的には難しいと考えられます。このような要件を踏まえて、芝生の草種、土壌の改良方法、施工方法、メンテナンス方法など、それぞれの小学校の校庭に適した芝生を継続的に検討しています。


サッカーを楽しむ子供たち

●「芝生スピリット」のこれまでの活動


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